Story

福岡のとある場所で育むラブストーリー。

2011,10,17 UP

HAPPY BIRTHDAY

秋も段々深くなり、朝は肌寒いくらいに気温が下がった。

澄んだ空気とはうらはらに彼はひどくだるそうだ。

ゆっくりとワイシャツに袖を通して、おおきなあくびを1回、2回と繰り返す。

 

「今日は何食べたい?好きなもの作るっちゃけん、言って」

 

と声をかけると、んーとこれまただるそうに頭をかしげる。

 

「朝に夜ごはんなんて考えられないよ」

 

そっけない返事。いつもならここで怒るけど、今日の彼は王様だ。

 

「そんなこと言わずに、リクエストしてよ」

 

私も引かない。

 

「じゃあグラタン。」

 

「バドは猫舌でしょ。」

 

「でもグラタン。ピンクのグラタン」

 

「ピンクのグラタン?!そんなのあるの?」

 

「考えればあるよ。よろしくね。じゃあ今日は早めに帰るから。」

 

謎解きを残し彼は出て行った。

そういえば、出逢ったころも謎だらけだった。

彼とは夏の糸島で出逢った。日焼けしすぎて夜の闇にまぎれていた位黒かった。

最初は年が近いかと思っていたが、聞いたら随分年上で、名前を尋ねても「バド」と言い、

飲んでいたビールのラベルを簡単に読み上げただけだった。

本当の名前は同棲してから知ったが、変わらず「バド」と呼び続けている。

 

今日はそんな彼の誕生日。ハロウィンの日に彼は生まれた。

黒い肌と冷たい風。そんな矛盾さがどことなく彼のミステリアスな雰囲気とマッチしている気がする。

 

「ピンクのグラタンかぁ・・・あ・・・」

 

そうか、そういうことか。

 

中にはたっぷり入れて、チーズのふたの真ん中をくりぬいて、またほんのちょっと入れて。

表面には彼の大好きなめんたいが見えるように。できればハートになるといいな。

 

初めて迎える一緒の誕生日。

酔っぱらったバドから愛の言葉が聞けるといいな。

 

 

 

 

■福岡食材

糸島産 南京南瓜

明太子

This week special photo.